愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

「小雪。きみもなにか飲むか? 映画鑑賞中は飲み物どころじゃなかっただろう」

 グラスをテーブルに置き、ゆったり歩み寄ってきた彼がクスッと笑う。

 レストランなどではそれなりに飲むけれど、プライベートな場所ではそれほど進んでお酒を飲まないが軽く酔った雰囲気を漂わせる姿には独特の色気があって、普段より緊張してしまう。

 これは、素面じゃ心臓が持たないかも……。

「私にも、遼河さんが飲んでいるワイン……いただけますか?」
「もちろん、一緒に飲もう。――シェフ、もうひとつグラスを」
「かしこまりました」

 シェフにグラスの用意を頼んだ遼河さんは、私のために椅子を引いてくれる。

 至れり尽くせりでなんだか恐縮してしまうけれど、今日は思い切り楽しむつもりで来ているので、素直に彼のエスコートに従った。

 すぐに届いたグラスに遼河さんがワインを注ぎ、改めて乾杯する。気を利かせたシェフがコース料理とは別に、チーズやドライフルーツの盛り合わせを運んできてくれた。

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