愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
「遼河さん、今日は素敵なところに連れてきてくださっただけでなく、こんなに豪華なおもてなしまで用意してくださって……本当に、ありがとうございます」
「普段、きみが美味しい料理を作ってくれるお礼だ。料理なんて別々に好きなものを食べればいいと思っていたのに、今は小雪の味でないと物足りなく感じる。別に、プレッシャーをかけているわけじゃないが、これからも気が向いた時は頼む」
なんだろう。今日の彼の口から出る言葉は、クールで少しぶっきらぼうないつもの空気感がなく、とても優しくて素直な感じがする。
ワインで温まっていた頬が、さらにじんわりと熱を持つ。
「……嬉しいです。そんなこと言われたら、毎日作っちゃいますよ」
「ありがたいが、きみだって働いているんだから無理するな。それに、小雪の料理が食べられない会食や接待の時に憂鬱になりそうで困る」
遼河さんが自嘲気味に言って、ワインを呷る。
さすがに言いすぎだと思いつつも、会食のスケジュールを入れた新町さんに文句を言って、逆に彼に窘められる遼河さんの姿が目に浮かんで、思わずクスクス笑ってしまった。
話が弾んでいたところで、シェフから料理の準備が整ったと伝えられる。
テーブルの上が綺麗に整えられ、特別コースの前菜が運ばれてくる。レストランで出てくるような芸術的な盛り付けに、私は思わず「わぁ……」と声を上げた。