愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

 夕食の後、二階のバルコニーに出て夜空を眺めた。私たちの頭上には、東京で見るよりずっと多くの星が瞬いている。

「綺麗……天然のプラネタリウムですね」
「この辺りは、とくに星空が綺麗に見えることで有名なんだ。夏になれば、天の川もよく見えるらしい。その頃にもう一度来てもいいな」

 夏にもう一度……。

 一般的な夫婦なら、別に気に留めることもない、日常の会話なんだろう。

 でも、遼河さんと私の夫婦関係は、普通のそれとは少し違う。次の季節も一緒に過ごそうと当たり前のように言ってもらえると、胸が震えるくらいに嬉しい。

 自然と口元が緩ませていると、遼河さんがそっと私の左手を取った。

 そして、どこから取り出したのだろう。華奢なプラチナリングを私の薬指に嵌める。

 突然のことに目を白黒させていると、遼河さんがしたり顔で微笑んだ。

「さすが新町。サイズ、ぴったりだな」

 その言葉で、社長室で彼に指を計測してもらった時のことを思い出す。フルオーダーだから時間がかかるとは聞いていたけれど、頼んだこともすっかり忘れていた。

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