愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
「いやいや、それは無理がありますよ。金かなにかで雇ったんでしょう? 御社が配信なさっているあの動画……『氷室ローカル』でしたかな? あの番組では華やかで美しい女性を隣に侍らせているじゃないですか。本当は、ああいうのがお好みなのでしょう?」
氷室エクスプレスを、氷室ローカルって……なんてセンスのない皮肉だろう。
嫌みったらしく夫の会社を腐す彼を強気に睨みつけてやりたい反面、鬼瓦さんの発言に出てきた『華やかで美しい女性』の存在が、私の自信をぐらぐらと揺るがしていた。
遼河さんに選ばれたのは私なのだから、彼女は関係ない。
そう胸を張れたらいいのに、第三者が見て明らかに釣り合いが取れていない私が、遼河さんの隣にいていいのか……やはり、小鹿さんのような女性が彼の隣にいるべきでないのかと、つい考えてしまう。
初対面の鬼瓦さんがパッと見ただけでも、私は地味で華がない。遼河さんの妻だと言っても信じてもらえないどころか、雇われた妻だと思わるようなパートナーでは、この先彼に迷惑をかけてしまうんじゃ……。
「言いたいことはそれだけですか? 鬼瓦専務」
マイナス思考に陥っていた私の耳に、呆れたような遼河さんの声が届く。