愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

 せめて小鹿さんに言われただけなら、遼河さんのそばをうろついていた私が気に食わず、言いがかりをつけているだけだと思うことができた。

 でも、ついこの間、同じことを鬼瓦さんにも言われたばかり……。

 やっぱり、どんな人が見ても、私は彼の隣に相応しくない。そう思えてしまう。

「ま、遊び相手にしても、社長の重荷になったり、彼の評判を落とすようなことは慎んでちょうだいね。私は自分を磨き、会社ために広報部での実績も積み、氷室エクスプレスの撮影ではずっと隣で彼をサポートしてきたの。社長夫人になる努力なら、誰よりも惜しんでこなかった。あなたとは目指しているところが違うの。……言いたかったことはそれだけよ。この写真ももう用済みだから消してあげるわ。撮った本人にも消させるから安心なさって」

 彼女はそう言うと、私の肩をポンと叩いて、ミーティングルームを後にする。

 小鹿さんが目指しているのは、社長夫人……だから、私とは器が違う。遊びの相手ごときに、彼女が心乱されることはないのだ。その意識の高さに、完全に気後れしてしまう。

 今度参加する夫婦同伴パーティーでも、小鹿さんや鬼瓦さんに言われたのと同じようなことを言われたらどうしよう。

 遼河さんはきっと守ってくれるけれど、妻の私が彼に甘えるような態度では、きっと周囲の人たちからの評価は下がってしまう……。

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