愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
契約結婚を決めた時になにもかも覚悟したつもりだったのに、実際に社長夫人として振る舞わなければならない場面がきたら怖気づくなんて、情けなさすぎる。
だからといって、今さら遼河さんへの気持ちをなかったことにはできないし、彼と別れるという選択肢も考えられない。
小鹿さんや鬼瓦さんにはさんざん馬鹿にされたし、自分でも、今はまだ遼河さんと釣り合う女性にはなれていないと思う。
それでも、彼の隣は誰にも譲りたくない……。
色々なことがありすぎて頭がパンクしそうだったその日、遼河さんも出張で不在なので、私は琉美に連絡を取り、相談がてら彼女の部屋に泊めてもらうことになった。
琉美とは食事くらいなら今でもよくするけれど、お泊りしてゆっくり話をするなんて、学生の頃以来。
彼女の家に向かう途中でスーパーに寄り、すぐに食べられるお惣菜やおつまみ、お酒をたくさん買って、長くなりそうな夜に備えた。
「わ~、すごいね、その小鹿さんって人。小雪こそが社長夫人だなんて、夢にも思ってないんだろうね」
「……うん。これっぽっちも考えてないと思う」
琉美がセンス良く整えているワンルームで、私たちはラグにぺたんと座り、お酒と食べ物がのったローテーブルを囲んでいた。