愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

 前向きな気持ちを取り戻した私は、スマホを握り直してようやく昨日のことを説明し始める。

「実は、昨夜は友人の家に泊まってお酒を飲んだので、この時間まですっかり寝てしまっていて……ついさっき、起きたところなんです。遼河さんが出張中でご不在なので連絡を怠ってしまってごめんなさい。ご心配おかけしました」
『友人……。つまり、俺に嫌気がさして出て行ったわけでもないし、この家に帰らないつもりで大荷物を持って行ったわけでもない……?』
「も、もちろんです。遼河さんが出張からお戻りになるまでには、私も帰宅するつもりでした」

 電話の向こうで、彼が心底ほっとしたというように、長い息をつく。私が家出したんじゃないかと本気で心配していたようだ。

『よかった……。それなら、きみたちのタイミングで解散する時に連絡をくれれば、そこまで車で迎えに――』
「あのっ。今すぐはダメですか?」

 状況を理解した遼河さんが、私と琉美の都合を優先して行ってくれたのはわかっている。

 でも、私は今すぐ彼に会いたかった。

『俺は構わないが……友達の方はいいのか?』

 大丈夫。琉美には昨夜、遼河さんとの夫婦関係について散々悩みを聞いてもらったし、アドバイスももらった。

 こうして素直になろうとしている私を見たら、きっと背中を押してくれるはずだ。

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