愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

「それで、氷室社長はなんだって? 確か出張中だったよね?」
「それなんだけど、彼、もう自宅に戻ってるらしいの。工場でトラブルがあって視察の予定が延びたからって。それで遼河さんにここまで迎えに来てくれるんだけど、住所教えちゃって平気?」
「どーぞどーぞ! 光栄でございます」

 琉美が快く承諾してくれたので、続けて住所を教わり、遼河さんにメッセージで送る。

 彼からはすぐに【了解】と返事があったので、彼が来るまでの間に身だしなみを整えなくてはと、慌てて琉美の部屋の洗面台を借りるのだった。


 三十分ほどで遼河さんが到着すると、なぜか琉美までフルメイクで見送りに出てきてくれた。

 初めて琉美と対面した遼河さんは、氷室エクスプレス出演時のような王子モードで、琉美に挨拶する。

「はじめまして、琉美さん。いつも小雪がお世話になっています」
「い、いえ……っ! こちらこそっ」

 さすがの琉美も少し挙動不審で、遼河さんが先に車に乗り込んだ後で、助手席に乗ろうとした私を引き留めるなり、興奮気味に言う。

「実物の氷室社長、やば……平然としてられる小雪は、やっぱり最初から妻の素質あったんだね。末永くお幸せにね」
「別に私だって平然としてるわけじゃないよ。でも、ありがとう。遼河さんの妻として成長できるように頑張るね」

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