愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
琉美に向かって意気込みを語ると、今度こそ車に乗る。遼河さんが選んだ一台は、今日もブルーの車体が爽やかなユリシスだ。
遼河さんが車を発進させ、私は窓から琉美に手を振る。
静かに走り出したユリシスの車内で、遼河さんが不意に口を開いた。
「〝会いたい〟のひと言……小雪に先に言わせて悪かったな」
「えっ?」
ドキッとして、思わず運転席の彼を見る。
先にって……遼河さんも同じ気持ちでいてくれたってこと?
尋ねるような視線を送ると、遼河さんは、前方を見つめたままで苦笑する。
「俺は口がうまい方じゃないから、なかなかきみの前で決定的な言葉が言えなくて……いつも、小雪との会話の後で新町に叱られていた。自宅撮影の日にアイツが挑発的なことを言っていたのも、たぶんそのせいだ。俺を焦らせて、素直になれと言いたかったんだと思う」
自宅撮影の日……。確かに、彼と新町さんは、少し言い争っていた。
『どういうつもりだ? 新町』
『言葉通りですよ、社長。僕の目には仲真さんが潰れてしまいそうに見えたので、精神的に支えて差し上げたいと思いまして』
あの会話が、遼河さんを焦らせるものだったということは――。