愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

 勝手に期待を膨らませた胸が、ドキドキと高鳴る。そのままジッと彼を見つめていたら、遼河さんは少し意地悪な目で笑った。

「続きは家に着いてから、な。運転中は、きみの表情がちゃんと見えないから」
「は、はい」

 わかりやすく目を輝かせてしまった自分に後から気づき、急に恥ずかしくなって俯く。

 そんな私をフォローするかのように運転席からポンと軽く頭を撫でられ、その優しい仕草にますます胸は高鳴るばかりだった。


 帰宅すると、遼河さんがふたりぶんのコーヒーを淹れてくれた。

 それから正面に巨大なテレビのあるリビングのソファに並んで腰かけ、お互いに話をする準備が整う。

 私は一度奮い立たせた勇気がなくならないうちにと、思い切って先に口を開く。

「あの、正直に言います。実は私、このまま遼河さんの隣にいていいのかって、すごく悩んでいました。遼河さんにはもっと相応しい女性がいるんじゃないかとか、私なんかでは、そばにいてもあなたの評価を下げるだけになってしまうんじゃ、とか、ぐるぐる考えてしまって」
「そんなこと、俺が思うわけ――」
「でも。それなのに、遼河さんの隣にいる権利は誰にも渡したくなくて、自分から離れるのも嫌で……気づいたんです。理想の妻にはほど遠い未熟な私でも、遼河さんを好きな気持ちだけは、本物だって。好きだから、こんなにつらいんだって」


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