愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
広報部の社員たちが私と遼河さんが暮らす一軒家に再び集められたのは、三週間後。初夏の日差しが降り注ぐ、五月の終わりのことだった。
リビングに集められたのは、以前自宅を撮影に来たスタッフと全く同じメンバー。
その中には、当然小鹿さんの姿もあった。
私は撮影が始まるまであの日のようにバスルームに隠れ、新町さんからの合図を待っていた。
まさか、こんな形で人前に出ることになるとは思わなかったけれど、不思議と逃げたいとは思っていない。
緊張を落ち着かせるように触れたのは、左手薬指に輝く結婚指輪。
大丈夫。撮影の間は遼河さんがそばにいてくれるし、なにより私自身が変わったから――。
深呼吸をして目を閉じると、外からドアがノックされる。
「仲真さん、そろそろです」
「わかりました」
ドアを開けて外に出ると、廊下で待機していたのは新町さんだ。彼の笑顔にホッとしたところで、その背中に続いてリビングダイニングの方へ向かう。
ガチャ、と開いたドアの向こうでは、カメラやマイク、レフ版を持った撮影スタッフ、そして腕組みをしながら少し不機嫌そうに立っている、小鹿さんが待ち構えていた。
中央のソファで長い脚を組んで座っているのは、私の旦那様――遼河さんだ。