愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
彼もまた私と同じく、左手薬指にリングを嵌めている。私と新町さんが入ってきたことに気づくと、「小雪」と、私を手招きした。
部屋中の視線が私の方に集まるのを感じ、一瞬ひるんでしまいそうになる。
しかし、今日、ここで私たちの関係を発表するというのは、遼河さんと話し合って決めたこと。
結婚の公表は一年後と最初の契約の時には決めていたけれど、今では私たちの関係性も変わっている。それに、遼河さんが小鹿さんにどうしても制裁を与えたいというので、こうした形での発表となった。
私は気持ちを落ち着け、遼河さんの隣に腰を下ろす。すると、遼河さんが私の肩に手を回し、グイっと自分の方へ引き寄せた。
こんなに派手なアピールをするとは聞いていなかったので、周囲の視線が気になって落ち着かない。
「あの、遼河さん、これはさすがに……っ」
小声で抗議してみるものの、遼河さんはまったく意に介した様子もなく言う。
「……これでも遠慮している方だ。見ろ、あの小鹿の顔。化けの皮が剥がれるとはああいうやつのことだ」
言われるがまま、小鹿さんの姿を探す。他のスタッフと共に部屋の隅に立っている彼女は、ひとりだけものすごい形相でこちらを睨んでいた。