愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
【拝見しました。こちらの内容で問題ございません。そばにおりました氷室社長にもお目通しいただいたのでご安心ください。引き続き、会社説明会開催に向けての準備をよろしくお願いいたします】
確認の必要はないと言っていた社長だけれど、結局見てくれたようだ。
新町さんがうまく促してくれたのだろう。彼の気の利いたフォローには、インタビューの日から感謝してばかりだ。
お礼のメールを打ち、ちょうど昼休憩の時間になったので席を立つ。そしてバッグを手に、コンビニや飲食店が入っているビルの一階へ向かおうとした時だ。
「あ、仲真さん。休憩戻る時でいいから、コピー用紙もらってきて。補充用もなくなりそうだから」
声をかけてきたのは、勝瀬さんと雑談していた高田さんだ。消耗品の補充についてはとくに担当が決まっていないので、気づいた人が総務に出向いて必要分を調達してくる仕組みである。
高田さんはなにか午後に重要な仕事があるから行けないのだろうけれど……だったら、勝瀬さんと話している間に行けたのでは?
頭の中をひとしきりそんな疑問が巡ったが、こういうパターンは初めてではないので、私は「わかりました」と承諾した。
ここでなにか言ったら、先輩との間に波風が立ってしまいそうだし……。昼休みの後で総務に寄るくらい、大した手間ではない。
そう思いつつも、オフィスを出た瞬間に小さなため息が漏れた。