愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
そう思った直後、すぐそばに人の気配がして、ソファがぼすっと沈み込んだ。
隣で不機嫌そうに長い脚を組んだのは、画面に映っているのと同一人物だ。
「お、おかえりなさい」
「小雪」
彼に名前を呼ばれると、どうしてか胸が騒がしくなる。
私たちの関係は決して甘い男女のそれではないのに、私だけが一方的に、彼にドキドキさせられている。
だから、こんな風に迫られるのは困るのに……。
彼はスッと私の眼鏡を外し、美しい顔を近づけてくる。
「りょ、遼河さん……?」
「妻なら、動画なんかより目の前にいる夫をちゃんと見ろ。あんな作り物の俺じゃなく、本当の俺を」
唇を奪われる予感に、ギュッと目を閉じる。
戸惑いもあったけれど、抵抗はしなかった。
分不相応だと頭では理解しつつも、私は目の前にいる契約上の夫に、間違いなく惹かれていたから――。