愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
苦手な男性
午前六時半。スマホのアラームで目を覚ました。
朝が苦手なわけではないけれど、今日は午前中に憂鬱な仕事が待っているため、目を開くと同時に小さくため息をついて体を起こす。
仲真小雪、二十七歳。
大手自動車メーカー『氷室自動車グループ』の系列企業で、再生可能エネルギーを利用した幅広い事業を展開する『氷室エナジー』の人事部で働いている。
裏方仕事が多いからこそ人事部を希望したのに、今日は第一線で活躍している会社のトップと会わなければならず、気が重い。
ベッドから下りて、モコモコとしたスリッパに足を入れる。
カーテンを開けると、冬の空がようやく明るくなってきたところだった。強い風が窓を揺らす音も聞こえる。
「寒そう……」
二度目のため息をつき、階段を下りていく。一階は誰の気配もなくしんとしていた。
トラックの運転手をしている父は早朝から夕方までの勤務なので、いつも夜明け前に出勤する。
母は私が小学生の頃に事故で亡くなっていて、それからずっと、父ひとり子ひとりの生活だ。