愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

 前半部分は私にもなんとなく納得できる話だった。

 彼と言葉を交わしたのはインタビューの日だけだが、社長が女性に優しくしたり甘い言葉をかけたりするイメージはまったく湧かなかったから。

 それに加えて、彼は氷室エナジー社長であるだけでなく、その母体企業である氷室自動車グループの御曹司でもある。結婚にビジネスが絡み、望まない結婚を強いられるということなのだろう。

 結婚しなければならない理由については一応わかったので頷いてみせると、新町さんが続ける。

「結婚相手を探すにあたり、社長が僕に提示した条件が五つありました。ひとつ目は、後々揉めないために現在恋人がいないこと。これは当然ですね。ふたつ目、氷室社長自身にあまり興味を持っていない。三つ目、口が堅い。四つ目、人間関係が狭く限定的。五つ目、仕事ぶりが真面目である」

 まったくもって不本意だけれど、確かに条件は私に当てはまっている。

 しかし、それくらいなら他にも該当する女性がいるのでは……?

「以上のことから、仲真さんを社長夫人候補に推薦しました。ご質問があればなんなりと」

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