愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
「すみません。動画で拝見したことがあったので、つい」
「そうでしたか。氷室エクスプレス、見てくださっているんですね。ありがとうございます」
口角を上げて無邪気に微笑む姿は愛らしく、この人も一軍だな、なんて思う。
氷室社長も、結婚相手に選ぶならこういう女性にすればいいのに……。
小鹿さんと別れてエレベーターに乗り込んでからも、胸の中にはまだわだかまりが残っていた。
結婚の話を断るだけでよかったのに、『部品』だなんて言葉まで持ち出したのは、明らかにやりすぎだったよね。
左遷とか、減給処分がくだされたらどうしよう。いち社員の戯言だと聞き流してくれればいいけれど……。
ため息をついて、エレベーターの回数表示を見る。
なかなか動かないので怪訝に思っていたら、自分がボタンを押していないだけだった。
……なんだか最近、うまくいかないことばかりだ。