愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
琉美と約束していたランチが実現したのは、金曜日のこと。
バレンタイン当日とあって、オフィス街の飲食店でも、様々なフェアが開催されている。
私も父へ渡すチョコはすでに準備してあり、自宅のキッチンに隠してある。
付き合っている人がいるなら私からは必要ないかもと一度は迷ったけれど、父の性格なら喜んで受け取ってくれるだろうと思い直した。
ハートとチョコレートが溢れる街の中、琉美と待ち合わせたのは、和風パスタ専門のレストラン。
ふたりでしばらく悩み、パスタとサラダ、食後にチョコプリンがつくシーズン限定ランチを頼んだ。
パスタは数種類の中から選ぶことができ、琉美は雲丹と味噌を使ったカルボナーラを、私は牡蠣ときのこのスープパスタをそれぞれ選択した。
メニューを置いてひと息つき、なにげなく琉美を見る。営業らしく動きやすそうなパンツスタイルにスリムなニットを合わせている彼女がとても垢抜けて見える。
私はいつも、ジャケットの下にシャツかブラウス、ひざ下丈のスカートという無難なコーディネートに逃げてしまうんだよね……。
それが悪いとは思わないけれど、どんな服もセンス良く着こなせる琉美が羨ましい。