愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

 洗面所に移動して洗濯機を回し、顔を洗う。鏡に見慣れた自分の丸顔が映った。

 眉も目もやや下がり気味なのが昔からコンプレックスだけれど、メイクに詳しい友人によると『愛され顔』に分類されるらしい。

 学生時代から地味で人間関係も狭く、男性との交際経験に至ってはゼロという日陰者の私にはにわかに信じがたい話だ。

 スキンケアを済ませて肩下まである髪を束ね、昨夜から洗面所に置きっぱなしだった眼鏡をかける。濃いブラウンのフレームが楕円型になっている、オーソドックスなデザインだ。

 リビングダイニングに移動すると、テーブルの上に父お手製の巨大おにぎりがのった皿があった。

 添えられたメモを手に取り、父らしい大胆な文字を読んでふっと笑みをこぼす。

【朝メシちゃんと食えよ!】

 仕事で朝早いのに、こうして毎朝私のために朝食とメモを残してくれる。高校生の頃は、毎日夜中に起きてお弁当も作ってくれた。

 私は自分で作ると言ったのに、『学生の本分は勉強だろ』と取り合ってくれなかった。

 父はいつもぶっきらぼうな言い方をするけれど、愛情はちゃんと伝わっている。

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