愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
「そうやって眼鏡外してるとホントかわいいけどね、小雪」
「まったく琉美は口がうまいんだから。幼くて間の抜けた顔ってだけでしょう」
「いやいや、友達に営業トークはしないってば」
正面から褒められると照れくさくて、眼鏡を手に取ると再び装着した。
「でもさ、氷室社長に仕事ぶりも認められてたのは嬉しくない? 小雪の真面目さを評価してくれるなんて、なかなか見る目のある人じゃない」
そういえば、結婚相手の条件に『仕事ぶりが真面目』っていうのがあったっけ。
あの時は混乱していてそこまで深く考えていなかった。しかし、その話をしていたのはあの優しい新町さんだ。
「条件について実際に話してくれたのは秘書の人だから、氷室社長本人がそう思ったのかどうかはわからないよ」
「そうは言っても結婚するのは社長でしょ? さすがに秘書の主観だけで決めたわけじゃないと思うな。だから、結婚はしなくとも社長に認められたってことは自信にしていいんじゃない? 小雪は自分を過小評価しがちなところがあるから」
……確かにそうかもしれない。
〝真面目ちゃん〟な自分を引け目に感じることはないと思っていても、誰かにとっては迷惑な存在。その考えにとらわれすぎるから、目立つ人たちを『一軍』と呼んで、勝手に線引きしてしまうのだ。