愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
「いただきます」
椅子に座り、両手を合わせて父のおにぎりにかぶりつく。
しっかりと塩味の効いたご飯は噛みしめるほどに美味しく、大きめのおにぎりだったのにあっという間に平らげてしまった。
食器を片付け、着替えとメイクを済ませる。その間に洗濯機がちょうど脱水完了の音を鳴らすので、出かける前に洗濯物を干すのが日課。
仕事が終わるのは父の方が早いので、干した服を取り込んで畳むのと、夕食の買い物は父の担当。私が帰ってきたら、一緒にキッチンに立って料理を仕上げるのが平日のルーティーンだ。
こうして役割分担がしっかりしているので、父とのふたり暮らしはとても平和で心地いい。
けれど最近、いつまでもこのままではいられないと思っている。最近の父の言動から、薄っすらと女性の気配を感じるからだ。
『小雪。悪いけど、明日の夜はひとりでメシ食えるか?』
『子どもじゃないんだから平気だよ。行ってらっしゃい』
これは先週、父と一緒に夕食を囲んだ時の会話である。
父が私以外の誰かと外食する機会なんて、年に一度あるかないか。たまには羽を伸ばしてもらいたくて、快く承諾した。