愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
「いやだな、父さん。気づいても黙っていてくれよ」
「まぁ、遼河がこんなことを言うなんて……。今まで恋人なんて紹介してくれたこともないし、どこか冷めたような子だと思っていたから、本当に安心したわ」
冷めた子……そうだな。男女問わず、俺という人間の内側を知ろうともせずに近づいてくる人間が多すぎたせいで、確かに俺は冷めていた。
親しいといえる相手は新町くらいだし、一生独身で構わないとも思っていた。
……ま、好きでもない相手と契約結婚をすることを選ぶのは、独身を貫くよりもある意味冷徹かもしれないが。
そんな心の声とは裏腹に、俺は横に座る小雪の方に手を伸ばし、彼女の手をギュッと握る。
小雪が頬を赤くしたので、なかなか芝居がうまいじゃないかと意外に思う。
この辺りで一気に畳みかけようか。
「小雪は、俺が忙しくてなかなか会う時間が作れなくても、じっと待っていてくれるタイプなんだ。そのくせ、久々に会えた時にもワガママはひとつも言わず、疲れた俺を労ってくれる。会社での信頼も厚いし、口も堅い。一般家庭の出身だけど、どんなお嬢様よりも聡明で優しく、品のある女性だよ」
「お前がそこまで褒めるとは……相当、小雪さんに首ったけのようだな」
「だから、俺たちの結婚を認めてほしい。すぐにでも婚姻届を出したいくらいに、小雪を愛してるんだ」