愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
……我ながら名演技である。自社の配信動画、氷室エクスプレスへの出演で培った能力が、こんなところで役に立つとは。
内心得意げな俺の耳に、母の洟を啜る音が聞こえてくる。
「遼河、立派になったわね……。私は賛成よ。江戸時代じゃあるまいし、家同士の格差なんてどうだっていいことだわ」
「ふむ。それに遼河、お前には例の疑いもかかっているからな。小雪さんという素敵なお嬢さんと婚約していると、私から鬼瓦専務たちに伝えておこう。しばらく内密にしたいという件も含めてな。その代わり、一年後お前が副社長に就任する時に盛大に発表すると」
「ありがとう、父さん、母さん」
殊勝な息子を演じる俺の横で、小雪も心から安堵したように微笑み、頭を下げた。
「お父様、お母様、ありがとうございます。不束者ですが、よろしくお願いします」
「こちらこそ。小雪さんのお父様にもよろしくお伝えください」
これは計算外のことだが、小雪はどうやら親から気に入られる能力もあるようだ。
彼女の中に俺ほどの腹黒さはないだろうが、意外とやるなと感心する。
「そうそう、遼河。今日は小雪さんにどんなお返しのプレゼントをしたの?」
不意に、母親からそんな質問が飛んできて、好奇心たっぷりの目で見つめられた。
しかし、お返しのプレゼントとは……?