愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

「でも、さすがにお風呂の壁を変えてくださいとは言いづらいよ。工事が入るような場合は夫婦どちらかが立ち会わなきゃならないだろうし、いくらかかるのか考えると恐ろしい。結局、まぁ我慢すればいいかってなるんだよね……」
「なるほど。セレブ妻みたいな生活をしていても、中身までセレブに染まるのはなかなか難しいんだね」

 彼女の言う通りだ。今はそれでも特に困らないけれど、今後は夫婦同伴の会合などに出席することもあるだろう。

 第三者の前で遼河さんの妻として振る舞うには、もう少し彼の生活を理解し、歩み寄らなければとも思う。

「うん。少しは遼河さんの生活レベルに合わせた方がいいと思って時々高級スーパーで買い物するんだけど、それすら罪悪感を覚えてるよ」
「ちなみに小雪の料理を氷室社長が食べたりすることってあるの?」
「ううん。そういうのは必要ないって言われてるから、いつも自分の分しか作らない。食事の時間も全然合わないし、余計な気を回す方が怒られそうな気がしちゃって」

 顔を合わせる頻度が少ないせいか、結婚して数週間が経っても、私の中の彼のイメージは、クールで少し近づきがたい人。

 ご両親の前では親しげに振る舞っていたけれど、たまに自宅で彼とふたりの時間があっても、ほとんど会話がない。

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