愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

「ただいま帰りました……」

 リビングのドアを押して中を覗くと、ソファに座る遼河さんの後ろ姿が見えた。

 首だけでこちらを振り返った彼が、小さく私を手招きする。

 もしかして、お説教……?

 しずしずソファの方へ歩み寄っていくと、テーブルの上に小ぶりの紙袋が置かれていることに気づく。メルヘンチックなパステルカラーに苺の柄。中央には有名なパティスリーのロゴが入っている。

 遼河さんは立ち上がってその袋を持つと、まるで押し付けるように私に差し出した。

「……マカロン」
「えっ? わ、私に……ですか?」
「他に誰がいる。前に、やるって言っただろう」

 それって、もしかしてご両親と会食した日の……?

 ホワイトデーだからと彼のお母様にプレゼントのことを聞かれ、咄嗟にマカロンをもらったとごまかしてその場をしのいだ。

 遼河さんがその機転を褒めてくれて、報酬の代わりにくれると言ったんだ。

 でも、まさか本気だったなんて……驚いたけれど、うれしい。

「ありがとうございます」

 私が受け取ると、遼河さんは肩の力が抜けたようにホッと息をつく。

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