愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
翌日の土曜、私は休日だが遼河さんは出勤だった。
休みの日でもクセで早めに起き、キッチンで自分の朝ごはんを準備していると、スーツに着替えた遼河さんが彼の部屋から出てくる。土曜の朝でもその身なりは完璧だ。
「じゃ、行って来る」
出かける前にこちらを振り返った彼に「いってらっしゃい」と返し、食パンをオーブントースターに入れる。
なにげない挨拶にも、なんとなく当初よりは温かみがあるような……。
そう思った次の瞬間、私は「あっ」と声を上げ、慌てて廊下に出た。
「遼河さん……!」
幸い、彼はまだ玄関を出ていく前だった。
靴を履いたまま不思議そうにこちらを向いた彼と目が合うと、緊張が走る。
「あの、今日の夕飯は自宅で召し上がりますか?」
「ああ。七時頃には帰れるだろうからそのつもりだが」
「私に作らせていただけないでしょうか……?」
同じ時間に食卓につける日はそうないし、今日なら私は休みだから、慌てずじっくり料理ができる。だから、チャンスかなと思ったのだけれど。
おそるおそる反応を待ってみるものの、遼河さんは黙ったまま。気まずくて、つい捲し立ててしまう。