愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

「話題づくりのためとはいえ、気合いがすごいな。……そうだ、説得力を持たせるために写真を」

 ポケットを探った彼が、皿の上にスマホをかざして、チキン南蛮を写真に収めている。

 とりあえず、迷惑がられてはいないようなのでホッとした。

「どうぞ、温かいうちに召し上がってください」
「ああ。いただきます」

 丁寧に両手を合わせた彼が、箸を持つ。そして、たっぷりのタルタルソースがかかった鶏肉を掴むと、ややワイルドに口に入れた。

 味見はしたから美味しいはずだけど、人によって好みがあるからな……。

 私も箸と茶碗を持ち、緊張気味に彼の反応を窺う。二、三切れの鶏肉を黙々と口に運んでいた彼が、ふいに手を止めてじろりと私を見た。

 彼の眼差しには迫力があるので、つい肩を竦めてしまう。

「ど、どうしました?」
「……やっぱりなにか下心があるんじゃないか?」
「えっ?」
「今ならなにを言われても許してしまいそうで、そんな自分に腹が立つ。それくらい、このチキン南蛮はうまい」

 ほ、褒めてくれたんだよね……?

 仏頂面なのでわかりづらいが、言葉自体は絶賛だ。

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