愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
画面越しの静止画を見ただけでもこんなに綺麗なら、実際に羽ばたいている姿はどれほど幻想的なんだろう。
「ユリシスの青いボディは、まさにこの蝶を参考にしたんだ。彼らが生息しているような自然豊かな場所を走行しても、空気を汚さない。そんなコンセプトで開発された」
「なるほど。イメージにぴったりですね」
「乗ってみたいか?」
「えっ? ……そうですね。いつか」
私は車の免許を持っていないし、だからといって遼河さんの運転する車に乗せてもらうなんて発想も恐れ多い。
ただ、乗りたいという気持ちは本物だったから、いつか、と付け足した。
「……いつか。きみらしい答えだ」
遼河さんはなぜか微苦笑を漏らし、気まずそうに手のひらで髪をかき上げた。
「私らしい?」
「別に深い意味はない。少し、お喋りが過ぎたな。早く食べないと冷めるぞ」
彼はそう言って、食事のスピードを上げる。私はもう少し話していたい気持ちもあったけれど、彼はそうではないのだろう。