愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
無言になってしまった食卓には少し寂しいものがあったけれど、彼が食事を終えた時、お皿はすべて綺麗になっていた。
とりあえず、手料理を食べてもらうっていう希望は叶ったんだもの。今日はそれでよしとしよう。
自分を励ましつつ、ふと自問自答する。
でも……私、契約妻だよね。その一番重要な役目は、遼河さんをよく思わない氷室自動車グループの専務、鬼瓦さんに、遼河さんは女遊びなんてしていないと納得させること。
それさえうまくできれば、実際は仮面夫婦でもいいのだ。
結婚を承諾してすぐの頃にも、彼から口酸っぱく説明された気がする。
『俺という人間を好きになる必要はないし、俺もきみに特別な感情を抱くつもりはない。この結婚はあくまでビジネスの一環であり、鬼瓦山彦への対抗手段だ』
あの時は、むしろそのドライな条件に魅力を感じていたはずなのに……こうして一緒に暮らし始めてみると、そんな関係では味気ないように思えてしまう。
遼河さんは、どう思っているのかな……。
彼が席を立ってしまった後もそんなことをぼんやり考えていたので、私はなかなか食事が進まなかった。