愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
変わっていく夫婦関係――side遼河
「ご覧ください、このメニューの数。日替わりランチの他、人気の定番メニューも和洋中、バリエーション豊富に揃っています」
俺の隣で、広報部の小鹿という女性社員が、カメラに向かって社員食堂のメニュー表を広げて見せている。
今回撮影する動画は、氷室エナジー本社のあらゆる施設について掘り下げようという企画。
充実した労働環境をアピールし、今後も継続して優秀な人材を確保することが一番の目的である他、安心・安全なホワイト企業であることを世間に広く認知してもらい、商品や会社への信頼を深める効果もある。
その宣伝効果は数字にも表れているため、社長としての俺は広報部の働きを高く評価している。
今後も氷室エクスプレスではあらゆる企画が目白押しのようで、その精力的な仕事ぶりも、感心に値する。
……しかし。個人としての俺は、少々気疲れしていた。
数年前に氷室エクスプレスの配信が始まってから、チャンネル登録者数も再生回数もうなぎ昇り。
ありがたいことではあるが、本来俺は人前で愛想を振りまくのが苦手な性格である。