愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

 あからさまに気まずそうな彼女に複雑な気持ちを抱いていると、隣で新町が「あっ」と声を上げた。それから周囲を見回し、俺たちのそばには人がいないことを確認した彼が言う。

「そういえば、おふたりとも来週末のご自宅撮影の日は気を付けてくださいね。変なものを映されないように」
「来週末の撮影? なんですか、それ」

 小雪が眼鏡越しの瞳をきょとんと丸くして首を傾げる。

 ……しまった。彼女に相談するのを失念していた。

 数カ月前に撮影された動画で自宅について語ったら、直後に広報部から『休日に自宅潜入動画を撮らせてください』と依頼があった。

 氷室エナジーの宣伝なので、ユリシスを置いている庭のガレージをメインに撮るそうだが、室内も少し見せてくださいと言われている。

 気ままなひとり暮らしだった当時は安請け合いしてしまったのだ。

 忘れた頃に撮影スケジュールが送られてきたが、その時はすでに小雪と結婚した後。

 彼女にも伝えなければと思っていたのに、忙しさにかまけて後回しになっていた。

「あれ、社長、話してなかったんですか?」
「……これからするところだったんだ。十分気を付けるつもりだが、当日はお前もフォローよろしく頼むぞ」

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