偽王子と、甘い偽恋
「何でそんな無駄に鋭いんだよ」


 何で、と言われましても。

 臣くんのその反応で、図星だったのだと察する。

 そんな、無視して解決するような話なのだろうか。

 決して簡単な話ではないような気がする。

 結婚が臣くんの人生に関わることだというのは分かっている。
 それでも家のことであり、彼が背負った会社のことだ。
 それも全て含め、彼の人生。
 そんな、投げやりに対応していいことではない。

 だけど、私に名案なんて浮かぶはずもなくて。
 臣くんのために、ただの一般人の私にできることは一体何があるのだろう。


「臣くん、どうするの?」

「婚約の予定なんかねぇよ。そんなことしない」

「でもさ…」

「もうテレビの前で宣言したんだ。恥じかかせんなよ」


 そう言われてしまえば、もう何も言えない。

 臣くんが決めたことなら、どうにかなると信じることしかできないのが、どうにも苦しい。

 情けなく「そっか」と言葉を漏らし、力なく笑みを零すことしかできない。

 どこまでも非力な自分が、情けなくて。

 どうか、最後には臣くんが心から納得できる結末であってほしいと、それだけを切に願った。
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