偽王子と、甘い偽恋
 店を出ると、私は放心状態のまま会社へと戻っていた。


「…あ、佐々木さん。お支払いしてもらっちゃってすみません!払います!」

「いや、このくらいいいですよ。というか、大丈夫です?無事ですか?」

「いや…、顔面国宝でした…」

「そんなにです?」

「あの格好良さがわからないなんて!!!!」


 佐々木さんは私の言葉に若干面倒そうな表情を浮かべつつも、それ以上は何も言わず黙って聞いてくれている。

 午後から仕事に戻っても、私の頭の中はその男性のことでいっぱいだった。

 あの端正な顔立ちでカフェの店員なんて、あまりにも似合いすぎている。

 それにあの柔らかい物腰も、カフェの温かな雰囲気にぴったりだった。
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