偽王子と、甘い偽恋
 そう思い、言葉を零そうとした時だった。


「別にただの気まぐれだよ。今日からまたやっと一緒に住めるんだから、姫扱いしてご機嫌でも取っといてやるかと思っただけ」


 そんな、どこまでもひねくれた言葉。
 なのに、耳に届く声はひどく甘い。
 それは、素直になれない彼なりの、精一杯の愛情表現だった。

 臣くんの言葉に、思わず笑みがこぼれた。

 彼の気まぐれに振り回されて、困惑もしたけれど、そういうことなら、たまには振り回されるのも悪くないと思える。

 ずっと憧れていた夢を叶えてくれる人も、きっとこの人しかいないのだから、彼の気が向いている時くらい、その"お姫様ごっこ"に乗っかってあげようと思う。


「気分いいから毎日でもいいよ?」

「だる。姫って器になってから言えや」

「だまらっしゃい」


 時折見せる、私達らしさも忘れずにね。
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