偽王子と、甘い偽恋
「…やっぱり一人は寂しい」


 いつもより広くて、静かで、冷え切った家。
 また、この感情を受けることになるなんて、思ってもいなかった。

 慣れなきゃいけない。
 これから先、きっと何度もこんな夜が訪れる。

 今、臣くんはアメリカで何をしているんだろう。
 もしかしたら、まだ現地に着いてさえいないかもしれない。

 そんな風にぐるぐると彼のことばかりを考えながら、目をつむる。

 時差ボケは大丈夫かな。
 向こうのご飯、口に合わなかったりしない?
 ちゃんと眠れてる?
 少しだけでも、休憩は取れてる?

 次から次へと心配が溢れてくる。

 いくら私との時間を作れるようになったとはいえ、彼はやっぱり忙しい身である。

 私との関係を父親に認めさせるために、仕事の実績で見せると言って、今はがむしゃらに無理をしている。

 その気持ちは、痛いほど伝わってくるし、すごく嬉しい。
 だけど、私が何もできないことが心苦しい。
< 120 / 177 >

この作品をシェア

pagetop