偽王子と、甘い偽恋
『…今何してんの』

「今は…」


 この状況を、一体どう説明すればいいのだろう。

 臣くんの部屋で、臣くんのシャツを抱きしめながら、臣くんのベッドに寝転がっています なんて、口が裂けても意気揚々とは答えられない。

 散々悩んだ挙げ句、微かな声で「ご、ゴロゴロしてる」とだけ答えた。


『そう。じゃあ、それ俺の部屋でしといて』

「え?」

『じゃ、時間無いから行くわ。またな』


 それだけ言い残して、電話は無情にも切れてしまった。

 今、はっきりと『俺の部屋でしといて』とおっしゃいました?

 聞き間違い? それとも幻聴?
 つまり、それって『りりかの匂いに包まれたいから、りりかの匂いを染みこませとけよ』ってコト!?(そこまでは言っていない)

 このごろごろも臣くん公認となった今、もう何も迷うことはない。
 私は思いきりベッドに体を擦り付けて転げ回った。

 案の定、すぐに目が回った。

 そういえば私の三半規管、そんなに丈夫じゃなかった。
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