偽王子と、甘い偽恋
腹黒王子の運命の人は…?
 向かった先は、臣くんの実家。

 車が停まったのは、重厚な鉄製の門扉の前だった。それから少しして、門がゆっくりと左右に開くと、手入れの行き届いた芝生と計算し尽くされた配置の庭木が並ぶ、長いアプローチが続いていた。

 しばらく歩き、その突き当たりに鎮座するのは、陽に照らされ、白亜の外壁が眩しく輝く邸宅。豪邸という響きがこれほど似合う家を、私は他に知らない。

 私には到底縁のないような場所で、せっかく綺麗にメイクをしてもらったことも忘れ、私はただ呆然と口を開けていた。

 臣くんはそんな私を気にする様子もなく、重い玄関の扉を開ける。

 そこには吹き抜けの高い天井が広がる、大理石のホールがあった。磨き抜かれた床には天井のシャンデリアが鏡のように反射していて、一歩踏み出すたびにパンプスの乾いた音が館内に高く響き渡る。

 壁には素人目にも高価だとわかる絵画が飾られていて、一枚いくらなんだろうなんて下世話な想像をしながら、前を歩く臣くんの後ろをついていった。


「臣くんって…、本物のお金持ちだったんだね…」

「玉の輿じゃん。よかったな、幸せな奴」

「普通自分で言う?」


 あまりの物言いに呆れながら返すと、臣くんはぴたりと茶色の大きな両開きドアの前で足を止めた。
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