偽王子と、甘い偽恋
 臣くんはシャッターを切りながら、「そもそもさ」と話し出した。


「お前は自然体が一番可愛いよ。変な取り繕いもしていないところが」


 不意に零された彼の本音に、思わず顔に熱が上がる。

 まさかこのタイミングで、そんな甘い言葉を吐かれるなんて思ってもみなかった。

 その隙を逃さずシャッターを切られ、臣くんは画面を確認すると、少しだけ微笑んで「ほら」と私に見せてくる。

 私にはよくわからない。照れ隠しで顔を赤くしている自分が、人からどう見えているかなんて。


「俺が一番可愛く撮れる自信あるわ」

「…何その自信」

「俺が一番よく見てるんだから当たり前なんだよな」


 そう言いながら、また不意打ちで写真を撮られる。

 少し驚いていると、臣くんはそのままカメラをインカメラに切り替え、私の肩を抱き寄せてシャッターを切った。

 二人並んで写真に写ることなんて滅多にないのに。
 彼にしては、すごく珍しいことだった。


「次はどこで撮る?あそこで耳でも買ってやろうか?」

「臣くんも着ける?」

「ふざけんな」


 そんな風に笑いながら会話を交わし、私達なりの楽しみ方で歩く。

 臣くんと一緒にいられれば、どこでだって、どんな方法でだって、何もかもが楽しくなる。
< 157 / 177 >

この作品をシェア

pagetop