偽王子と、甘い偽恋
 流されるまま連れてきてしまったけれど、もしかして私はとんでもないことをしたのでは…?と後になって気づく大馬鹿者である。

 どうして男性経験もないくせに、一人暮らしの部屋へ安易に異性を招き入れてしまったのか。

 この顔面の強さに負け、平然とOKを出してしまった自分が憎い。

 顔の良さと表面上の優しさは幾度となく見てきたが、その裏側は何も知らないのだ。私は、本当にとんでもない愚か者だ。

 そんな後悔に苛まれながらも、私の1LDKの部屋には今、あの顔面国宝がいる。

 身長が高く、私の背丈に合わせて選んだ家具のどれよりも余裕で大きい。部屋で一番大きな棚やクローゼットすら、彼と並べば小さく見える。

 後悔しても遅いのは分かっているのだけれど、自分を馬鹿だと責めずにはいられない。


「かわいい部屋ですね」


 そう言いながら、彼は小さめの白いソファに腰を掛けた。

 私の部屋は全体的に白を基調として、家具の扉などに差し色として水色を取り入れている。女の子らしさを目指したこだわりの空間だ。

 臣さんの話を聞き流しながら、貸し出せるような男性物の服がないか必死に探すが、あるわけがなかった。あるとすれば、ライブに行った時のフリーサイズのTシャツくらい。それを貸すべきか、そもそも袋から開けたくない…と悩んでいると、おみさんが音もなく近寄ってきた。


「着替え?いいですよ。別にそんな寒くもないし裸で寝るつもりですし」

「ええ!?」


 人の家を裸で歩きまわる気か!?この顔面国宝!!!!
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