偽王子と、甘い偽恋
「てか、そのつもりでOK出したんだろ?」


 不意に聞こえた低い声。それと同時に、顎に沿わされた指先でくいっと顔を上げさせられ、おみさんと目が合う。

 おみさんは、修羅場で一瞬見せたのと同じ、ひどく冷たい瞳をしていた。

 あまりの豹変ぶりに声が出ず、私はただ唖然とする。


「…What?」

「おい、純粋ぶんなって。男を部屋に入れたらどうなるかくらいわかってたろ」


 彼は不敵な笑みを浮かべながら、じりじりとこちらに顔を寄せてくる。

 まさか、TLコミックで見たあの展開が、今ここで起きちゃうってわけ!?

 私は、目の前の王子様…。


─────いや、化けの皮が剥がれた「偽物腹黒王子」を、ただ呆然と見上げていた。
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