偽王子と、甘い偽恋
「…こういうベタなこと、好きかなって思って」

「夢が叶いました」

「ならよかった」


 照れ隠しのようにそう言いながら、臣くんが差し出してくれた花束を受け取る。ずっしりとした重みが腕に伝わってきた。

 初めてもらう薔薇の花束は、言うまでもなく美しくて、私にはもったいないくらいだ。

 私が花束を大事そうに抱きかかえると、臣くんが片手でそれを受け取り、空いた方の手で私の手を繋いでくれた。


「戻るか」

「うん」


 一歩一歩、彼の隣を歩きながら、時折隣の臣くんを盗み見る。

 指先から伝わる体温も、薬指で鈍く光るダイヤの感触も、まだ全然実感が湧かない。


「都合いい時、りりかのご両親にも挨拶行くから、予定聞いといて」

「あ…」

「あ?」


 臣くん、完全に忘れてたよ。

 うちのパパも、なかなか曲者かもしれない。
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