偽王子と、甘い偽恋
「ちょっと、うちの子どんな魔法掛かったらこんなイケメンに愛されるわけ?何をしたのよ」

「ママ、本当に恥ずかしいからやめて」


 面食いな母のイケメン押しがうるさくて、顔から火が出そう。

 臣くんは今、聞かれたから表向きの答えを言っただけかもしれない。だけど、それでも嬉しい。迷いもなく私しかいないと、はっきり言ってくれたことが。

 私だって同じ気持ちだ。私には、臣くんしかいない。

 だけど、こんな風にはっきりと相手に伝えるのは、私にはまだ難しい。それを難なくやってのけてしまう臣くんは、やっぱり、すごく格好いい。






⋆ ˖ ⏱︎.ᐟ






 実家での挨拶を終え、このまま帰宅するか、それとも夕飯を食べて帰るかを悩んでいた時のことだった。

 臣くんは車を走らせながら、前方を見据えたまま不意に問いかけてきた。


「このままうちの実家向かっていい?」

「ええ!?じゃあ、こんな恰好じゃなくて、もっと良い恰好…、お土産も…!」

「いいから、そんなん。着いてきてくれるだけでいいよ」


 そう言い切るなり、車はすでに臣くんの実家がある方向へと加速していく。

 これから何が起こるのかも分からないまま、あまりに突然の展開に私の理解が追いつかない。
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