偽王子と、甘い偽恋
「そんな、悪いことかな。依存って」

「悪いだろ」

「え?」


 低く零された言葉に聞き返すと、臣くんは特に何でもないような表情を浮かべていた。


「そいつがいなきゃだめ、なんて考え、最悪だよ」


 ぽつりと零された、低く掠れた小さな声。

 深くは語らない。けれど、過去に何かがあったことを感じさせるような響き。

 普段は爽やかな佇まいをしているのに、裏側を少し覗き込むと、こんなにも仄暗い。


「…まともな恋愛してこなかったんだね」


 そう呟くと、臣くんはきょとんとした表情を見せ、それから可笑しそうに笑い出した。

 変なことを言ったつもりはないのに、大ウケしている。

 何笑ってんだ、この男。


「何達観してんだよ。お前なんて恋愛経験ゼロだろうが」

「そうでした」


 そう言われればそう。

 まともな恋愛とは何かという、初歩的な問いの段階で私は躓いている。


「私だって、このまま恋愛もせずに、老いてくのやだよ…」

「先を見据えすぎだろ」

「そりゃそうでしょ!早く王子を見つけて、結婚して、子供産んで、可愛いおばあちゃんになって、贅沢老後ライフ!」

「重いって。そりゃあ、男がお前と付き合うの億劫になるわけだわ」


 これが重い?私には普通だが??????
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