偽王子と、甘い偽恋
そんな裏事情があり、なかなか進展しない渋谷さんと佐々木さんの関係に、なぜか自ら首を突っ込んで振り回されにいった馬鹿な女は私だけれど。
それでもまだ、憧れの恋を諦めることはできなかった。
そんな思いを抱えたまま、ある夜、苦い思い出の張本人である渋谷さんと二人で残業をしていた。
「はあ?王子様?マジで言ってんの?」
「いいじゃないですか!夢見ても!人生一度きりですよ!王子様みたいな男性に愛されたい女性は、声に出さないだけで、きっと大勢います!」
「あほか」
呆れ顔のまま、渋谷さんは隣でキーボードを叩き続け、データの空白を迷いもなく埋めていく。
私は「あほか」と言われても、この考えを曲げるつもりはなかった。頑固と言われればそうだし、現実が見えていないのも、きっとその通りなのだろうけれど。
「思いませんか?渋谷さんだって恋人にするなら、プリンセスみたいな可愛くて完璧な女性が良いって」
「そんなん思ってたら女遊びなんてしてたと思う?」
「……」
女遊びで無駄な説得力を持つなよ。
そう思いはしたけれど、さすがに口には出せなかった。
「大体さ、プレッシャーだわ」
「え?」
「本田さんが愛されるために努力してるのはわかったけど、とはいえ、男は別に完璧なんて求めてねぇし。こっちが完璧なんだから、おとぎ話の王子様みたいに完璧でいろよって、遠回しに見返り求められてるみたいできつい」
「でも、男女共に愛されるための努力って、当たり前じゃないんですか?」
私が読んできた少女漫画や恋愛小説の登場人物たちは、みんな愛されるためにどこかで必死に努力をしていた。
好きな人に愛されるために可愛くなろうとしたり、懸命に気持ちを訴えかけたり。努力している姿には私自身も惹かれるものがあるし、いつだってそんな女性でありたいと思っていた。
それは男性も同じ。相手に振り向いてもらうために、猛烈なアピールを重ねる。相手に見合う自分であるために外見を磨く。物語の中では、当たり前に描かれている光景で、好意を持つ相手の為には努力を惜しまない物だと思っていた。
それでもまだ、憧れの恋を諦めることはできなかった。
そんな思いを抱えたまま、ある夜、苦い思い出の張本人である渋谷さんと二人で残業をしていた。
「はあ?王子様?マジで言ってんの?」
「いいじゃないですか!夢見ても!人生一度きりですよ!王子様みたいな男性に愛されたい女性は、声に出さないだけで、きっと大勢います!」
「あほか」
呆れ顔のまま、渋谷さんは隣でキーボードを叩き続け、データの空白を迷いもなく埋めていく。
私は「あほか」と言われても、この考えを曲げるつもりはなかった。頑固と言われればそうだし、現実が見えていないのも、きっとその通りなのだろうけれど。
「思いませんか?渋谷さんだって恋人にするなら、プリンセスみたいな可愛くて完璧な女性が良いって」
「そんなん思ってたら女遊びなんてしてたと思う?」
「……」
女遊びで無駄な説得力を持つなよ。
そう思いはしたけれど、さすがに口には出せなかった。
「大体さ、プレッシャーだわ」
「え?」
「本田さんが愛されるために努力してるのはわかったけど、とはいえ、男は別に完璧なんて求めてねぇし。こっちが完璧なんだから、おとぎ話の王子様みたいに完璧でいろよって、遠回しに見返り求められてるみたいできつい」
「でも、男女共に愛されるための努力って、当たり前じゃないんですか?」
私が読んできた少女漫画や恋愛小説の登場人物たちは、みんな愛されるためにどこかで必死に努力をしていた。
好きな人に愛されるために可愛くなろうとしたり、懸命に気持ちを訴えかけたり。努力している姿には私自身も惹かれるものがあるし、いつだってそんな女性でありたいと思っていた。
それは男性も同じ。相手に振り向いてもらうために、猛烈なアピールを重ねる。相手に見合う自分であるために外見を磨く。物語の中では、当たり前に描かれている光景で、好意を持つ相手の為には努力を惜しまない物だと思っていた。