偽王子と、甘い偽恋
フォークに絡め取った麺は、驚くほど濃厚なソースをたっぷりと纏っている。そのまま口に運ぶと、まろやかなソースの風味が口の中いっぱいに広がった。
「…おいしい!」
思わず声が漏れた。
卵黄のコクとチーズの旨味が凝縮されたソースは、滑らかでクリーミー。
パスタの茹で加減も絶妙だ。
こんなに本格的な味を、あの適当な手つきで作り上げてしまうなんて。
あまりの美味しさに、私は無言で次々とフォークを動かしてしまった。
「臣くん、天才じゃん…!これから毎日作ってほしい…!」
「甘えんな」
「居候の身で甘えを指摘してくんなよ」
そんな会話をしながらもカルボナーラを掬う手が止まらず、次々と口に運ぶ。
人に料理をしてもらうことがこんなに嬉しいとは、知らなかった。
親に作ってもらう時とはまた違う、くすぐったいような、それでいて満たされるような感情が胸に溜まっていく。
「…そもそも、家に人が誰かいるなんて、久しぶりだから、それも嬉しいかも」
「…そうかよ」
「だから、いる間だけでも、帰ってきたら、『おかえり』とか、『ただいま』って言いあいたいな」
口にしてみて、なんだか無性に照れくさくなった。
臣くんがここに住んでいるのだと自覚することも、改まってこんなお願いをすることも。そのすべてが、今の私には酷く気恥ずかしい。
臣くんはしばらくの間こちらを見つめていたけれど、「わかった」と短く返事をして、ふいと視線をテレビの方へ移した。
その横顔がどこか照れ隠しのようにも見えて、私は少しだけ、彼を可愛いと思ってしまった。
「…おいしい!」
思わず声が漏れた。
卵黄のコクとチーズの旨味が凝縮されたソースは、滑らかでクリーミー。
パスタの茹で加減も絶妙だ。
こんなに本格的な味を、あの適当な手つきで作り上げてしまうなんて。
あまりの美味しさに、私は無言で次々とフォークを動かしてしまった。
「臣くん、天才じゃん…!これから毎日作ってほしい…!」
「甘えんな」
「居候の身で甘えを指摘してくんなよ」
そんな会話をしながらもカルボナーラを掬う手が止まらず、次々と口に運ぶ。
人に料理をしてもらうことがこんなに嬉しいとは、知らなかった。
親に作ってもらう時とはまた違う、くすぐったいような、それでいて満たされるような感情が胸に溜まっていく。
「…そもそも、家に人が誰かいるなんて、久しぶりだから、それも嬉しいかも」
「…そうかよ」
「だから、いる間だけでも、帰ってきたら、『おかえり』とか、『ただいま』って言いあいたいな」
口にしてみて、なんだか無性に照れくさくなった。
臣くんがここに住んでいるのだと自覚することも、改まってこんなお願いをすることも。そのすべてが、今の私には酷く気恥ずかしい。
臣くんはしばらくの間こちらを見つめていたけれど、「わかった」と短く返事をして、ふいと視線をテレビの方へ移した。
その横顔がどこか照れ隠しのようにも見えて、私は少しだけ、彼を可愛いと思ってしまった。