偽王子と、甘い偽恋
偽王子、姫の初デートで振り回される。
 緊張の中で迎えた土曜日。

 凄まじい迫力の美人が、私の顔をまじまじと覗き込んでいた。

 もう、とんでもない美人だ。切れ長の瞳に、整いすぎている顔立ち。
 そして最新のトレンドを完璧に着こなした、お洒落なファッション。

 この方がすでに結婚していて、子供もいる女性だと聞いて、私はひっくり返りそうになった。現役のモデルですと言われても何の違和感もないほど、スタイルも容姿も抜群。


「あ、あの…」

「結愛さん。ビビっちゃってるから。後輩ビビらせるのやめて」

「あ、ごめん。すごい、可愛い子来たから磨きがいがあるなって」

「何でもいいけど人の家でやんなよ」


 そうツッコミを入れたのは、渋谷さんだ。

 なぜ私がここにいるかというと、ちょうどいい場所があるからと佐々木さんが指定した待ち合わせ場所が、まさかの渋谷さんの家だったからだ。

 この圧倒的なオーラを放つ美人は、東雲(しののめ) 結愛(ゆあ)さんというらしい。

 佐々木さんの兄の妻、つまり義理の姉の友人が、この結愛さんなのだそう。

 佐々木さんの兄夫婦と結愛さんは、渋谷さんの同級生らしく、時々交流があるという。


「てか黒崎、また美人になったじゃん」

「はは、彼女出来ても相変わらず口だけは減らないのね」

「どういう皮肉だよ、それ」


 この会話の通りキレッキレである。
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