偽王子と、甘い偽恋
咳払いをして、なんとか平静を装うと、渋谷さんに言われた通り、彼の腕に手を回した。
臣くんに対して、また慣れないことをしてしまっていて、顔が熱くなる。
他の男性と距離が近づいたり、少し触れたりしたくらいではこんなに照れないのに、臣くん相手だとやっぱり、どうしても照れくさい。
「…怒ってる?」
臣くんにしか聞こえないような小さな声で問いかけると、彼は私を見下ろし、ふっと微笑むなり私の頬を指先でつまんできた。
「何で遅れてきたんだよ。連絡くらいしろよ。何かあったかと思っただろうが」
そんな乱暴な話し方をするくせに、言葉の中身は優しい。
自分が待たされた苛立ちよりも、私を心配してくれたような響き。
そんなところに、ほんの少し、胸がきゅんっと鳴ったような気がする。
「…ごめん」
「今日、珍しく大人しいな。積極的に腕組んできた割に」
「余計なこと言わず、王子様モードに戻ってください」
「はいはい。わかりましたよ」
そう軽口を叩き合いながら、私たちは自然に歩き出していた。
私が待ち合わせ場所に現れてから、女性たちの視線は先程よりも引いていった。
私が彼女に見えているからか、ナンパを試みていた人たちは、急激に臣くんへの興味を失くしたような様子だった。
臣くんに対して、また慣れないことをしてしまっていて、顔が熱くなる。
他の男性と距離が近づいたり、少し触れたりしたくらいではこんなに照れないのに、臣くん相手だとやっぱり、どうしても照れくさい。
「…怒ってる?」
臣くんにしか聞こえないような小さな声で問いかけると、彼は私を見下ろし、ふっと微笑むなり私の頬を指先でつまんできた。
「何で遅れてきたんだよ。連絡くらいしろよ。何かあったかと思っただろうが」
そんな乱暴な話し方をするくせに、言葉の中身は優しい。
自分が待たされた苛立ちよりも、私を心配してくれたような響き。
そんなところに、ほんの少し、胸がきゅんっと鳴ったような気がする。
「…ごめん」
「今日、珍しく大人しいな。積極的に腕組んできた割に」
「余計なこと言わず、王子様モードに戻ってください」
「はいはい。わかりましたよ」
そう軽口を叩き合いながら、私たちは自然に歩き出していた。
私が待ち合わせ場所に現れてから、女性たちの視線は先程よりも引いていった。
私が彼女に見えているからか、ナンパを試みていた人たちは、急激に臣くんへの興味を失くしたような様子だった。