偽王子と、甘い偽恋
わかりやすく黙り込んだ私の顔を見て、臣くんは顔を顰めていた。
「…こんなことで赤くなんなよ」
そんな風に言って顔を逸らし、窓の外を見ている。
どうして彼にだけ、こんなに照れくさくなるのか、わからなかった。
何も思わない相手に、こんな感情を抱くことはなかった。
渋谷さんにですら、こんなに胸が締め付けられるようなことなんて、なかった。
これが恋をするということなのか、恋をしたことがない私には判別がつかない。でもきっと…。
そこまで考えて、ハッとした。
だって、臣くんが私の家にいる理由は、お互いに恋に落ちることがないからだと言っていた。だとしたら、臣くんは私との関係が進むことを望んでいないはず。
だから、この感情が恋だと気付いたところで、私は臣くんと先へは進めない。
理想のタイプは、臣くんとは真反対の、かけ離れた人のはずだった。だから、絶対に恋なんてしないと思っていた。
それなのに…、もやがかかったような、自分の曖昧な感情。
「何、その顔。デート中に見せる彼女の顔じゃねぇだろ」
臣くんにそう指摘され、慌てて意識を現実に戻した。
「ごめん。ちょっと考え事」
「……」
臣くんはそれから何かを言うこともなく、スマートフォンを取り出した。そして、ケーキを少しずつ食べている私にカメラのレンズを向け、不意に写真を撮った。
「…こんなことで赤くなんなよ」
そんな風に言って顔を逸らし、窓の外を見ている。
どうして彼にだけ、こんなに照れくさくなるのか、わからなかった。
何も思わない相手に、こんな感情を抱くことはなかった。
渋谷さんにですら、こんなに胸が締め付けられるようなことなんて、なかった。
これが恋をするということなのか、恋をしたことがない私には判別がつかない。でもきっと…。
そこまで考えて、ハッとした。
だって、臣くんが私の家にいる理由は、お互いに恋に落ちることがないからだと言っていた。だとしたら、臣くんは私との関係が進むことを望んでいないはず。
だから、この感情が恋だと気付いたところで、私は臣くんと先へは進めない。
理想のタイプは、臣くんとは真反対の、かけ離れた人のはずだった。だから、絶対に恋なんてしないと思っていた。
それなのに…、もやがかかったような、自分の曖昧な感情。
「何、その顔。デート中に見せる彼女の顔じゃねぇだろ」
臣くんにそう指摘され、慌てて意識を現実に戻した。
「ごめん。ちょっと考え事」
「……」
臣くんはそれから何かを言うこともなく、スマートフォンを取り出した。そして、ケーキを少しずつ食べている私にカメラのレンズを向け、不意に写真を撮った。