偽王子と、甘い偽恋
偽王子、初めての感情。
 それからも相変わらず、臣くんは私の家に住み着いている。

 家を探してはいるようで、平日の休みを見つけては内見にも行っているらしい。

 臣くんはあの日以降、余計な気を遣わなくなったのか、事あるごとに私を求めてくるようになった。私の休みの前日や、関係のない時でも、それは臣くんの気分次第で。

 場所はベッドの上だけに限らず、時々はお風呂も一緒に入るようになった。

 私は彼のことが好きだから、そんな行為もすべて許してしまう。気持ちは伝えられないけれど、ほんの少しでも近くにいられるのが嬉しくて。

 こんな自分が愚かなことをしているとは分かっている。誰にも言えない、恋愛初心者なのにこんな自分じゃ対処のできない秘密を一人で抱え込んで、どうしようもない沼にはまっていく。

 今夜も浴槽に浸かりながら、臣くんは私の胸を揉みしだき、顔を少し後ろに向かせて口付けを交わす。


「んっ…、臣く、ん…」

「…キス、うまくなってきたじゃん。俺が育てたと思ったら興奮すんな」


 そう言いながら少し微笑み、また軽く口付けてくる。


「育てたとか、やめて…」

「何も知らないお姫様が俺のせいで穢れてくの、最高にいい」


 こうして時折「お姫様」なんて呼ぶけれど、心にもないくせに。

 お風呂の熱さのせいか、この甘い行為のせいか分からないけれど、全身にじりじりと熱が溜まっていくような気がする。臣くんと至近距離で目を合わせると、彼はくすっと笑って私の頬に軽く口付けた。


「のぼせた?」

「誰かさんのせい」

「上がってベッド行く?」


 臣くんの誘いを断れるわけもなく、私はまた、ただ流されるだけ──。
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