偽王子と、甘い偽恋
行為が終わった後の、いつも通りの静かな時間。
衣類を身に着け、ベランダで煙草を吸っている彼の背中を眺めていた。
彼のことを何も知らないに等しいのに、なぜか惹かれてしまう。どうしてこんな人を好きになったのか、自分でも分からない。
運命の相手を見つける!と意気込んでいた、かつての純粋な私はもういない。好きになった最低な男の、セフレのような関係に甘んじている今の私。
こんな状態で、何が運命の王子様か。
欲を発散するために私を使うような男を、好きになっておいて。
そんな自分が愚かで、救えない。
考え事をしていると、臣くんがベランダから戻ってきた。
「臣くんさ、家探しどう?」
「まあ、ぼちぼち」
そう濁すような返事をして、彼はベッドの方に戻ってくる。
当たり前のように腰を下ろし、スマートフォンを眺め始めた。
その姿を見るたびに、誰と連絡を取っているんだろうとか、私には関係のないことを考えては、勝手に嫉妬が渦巻く。
不安、なんて綺麗な感情ではない。
今の私には、そんなものを抱ける立ち位置にすらいないから。
ただ、もしその連絡相手の中に彼の本命がいるなら…、と考えて、醜く嫉妬をする。
自分が彼の、何者にもなれないから。